ピケティ『21世紀の資本』読了。あんちょこ読んだり、斜め読みしたりはしていたのだけど、きちんと(?)通読したのは初。

 

1. 内容の要約

(1) 内容を乱暴に要約すると、まず「格差」を①給料の格差と②資本の格差とに分けて、どの程度の格差が存在するかを検証する。

 その結果、①給料の格差については、上位10%が給料全体の35%、中間40%が全体の23%、底辺50%が全体の25%をそれぞれ貰っていて、一応まあまあの格差が生じていることが判明した*1

 他方、②資本の格差については、上位10%が資本全体の70%(!)、中間40%が全体の25%、底辺50%が全体の5%(!)をそれぞれ所有していて、すさまじい格差が生じていることが判明した。

 

(2) その後、それぞれの格差は何で生じたの?ということを検討していき、①給料の格差が生じた原因として2つの事情を挙げる。

 1つは、(a)新技術の発明によって新しい職業が生まれる(そしてこうした新しい職業は得てして高給取りとなる)が、その職に就けるのはそうした新技術を理解できる知的エリートだけだから、給料格差が生じてしまうのだという事情である。

 もう1つは、(b)大企業の役員になると、給料を自分で決められるために、株主の利益を犠牲に超高額給料を設定できるのだ、という事情である。

 

 他方、②資本の格差の原因は、現在の社会では、資本から(働かなくても)得られる収益率(r)が、働いて得られる給料の上昇率(g)を上回っているという点にあると言う。

 rがgを上回っていると(r>g)、資本家は資本からの収益の一部を資本に再投資するだけで、必死に働く労働者よりも、収入も資本も増えていくことになるのだ。

 

(3) その上で、このままだとせっせと勉強して働く奴らより、親の遺産に頼って生きるすねかじり息子の方が経済的に恵まれることになってしまい、不公平なんじゃないの?とした上で、解決策をいくつか提示する。

 

2. 感想

 長い。あと繰り返しがめちゃくちゃ多い。上に書いたことが何回も何回も登場するので飽きてくる。

 上記に要約したことは肌感覚としてみんな何となく分かっていたことだが、それを数字を出して検証したのがエライ、ということになるのだが、やっぱり新しい視点(読んでてびっくりするようなこと)がもうちょい欲しかった。

 あとマルクスのアイデアをパクってきてんのかな?と思う場面が多数。労働価値論、相対的剰余価値の分配、資本蓄積の雇用効果、平均利潤率の形成など。それと「利潤率の傾向的低下の法則」はばっさり切り捨てられていたw

 ネット見てるとr>gの話(つまり資本の格差の話)ばっかり出てくるんだけど、r>gが逆転したのは2度の大戦の付近の期間以外ないとかいう話なんで、もうそこはいいんじゃねぇかな(白目)。所得の格差については「みんな!勉強がんばろうぜ!」という話なのでまだ希望があるはず。

*1:日本の数字は挙げられていなかったため、これはアメリカの数字