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我妻栄『近代法における債権の優越的地位』(1)

 我妻栄近代法における債権の優越的地位』をダラダラ読んでいる。

 

 世の中に転がっている商品のうち、①不動産、②貨幣、③消費財・奢侈財、④生産手段をピックアップし、それらが資本として運動していく過程で、どのような法律関係・法律状態が生じているかを論じている(と思う)。

 

 たとえば、①不動産であれば賃貸借契約を結んで賃料を得る、②貨幣であれば金銭消費貸借契約を結んで利息を得る、③消費財・奢侈財であれば売買契約を結んで利潤を得る、④生産手段であればそれを扱う労働者との雇用契約を結んで利潤を得る、など。

 

 その際、商品に対する所有権は、上記それぞれの債権ないし契約に吸収・解消されてしまっているのではないかというのが我妻の見立てだ。

 たとえば、①不動産所有権は賃貸借契約と結合する、②金銭消費貸借契約により貨幣の所有権は債務者に移転し喪失する、③売買契約により消費財・奢侈財の所有権は買主に移転し喪失する、④生産手段の所有権は雇用契約と結合する、というように。

 こうした見立てによって、所有権が移転することで賃貸人の地位が移転するという判例をうまく説明できるというのはおもしろい。

 

(さらに上記過程で生じた債権それ自体も商品として流通しうるが、このために必要な条件は何なのか、ということも論じる。)

 

 今のところ我妻の視点は非常にドライだ。上記に挙げた商品がどう運動しているかを分析していくだけで、その過程で食い物にされている弱者を救済するにはどうしたらいいかといった視点は存在しない。